「引き出しを持つ」

子ども達には無限の可能性があります。
この可能性を見つけるには、「長所を見つける」、
そして、その長所を活かせる出番をつくると書きました。

では、どうすれば出番をつくることができるのでしょうか。
具体的な事例の続きを書きたいと思います。

<事例>
運動神経がいいとは言えない、走るのは遅く、身体の使い方もぎこちない。
典型的なベンチウォーマータイプ。

この子の長所は、
「物覚えが良くて努力家」

この長所を活かす出番をつくるために、数多くの「引き出し」を持つことが必要になります。

野球というスポーツには、数多くの役割があります。
「物覚えが良くて努力家」
という長所を活かせる役割を引き出しの中から探します。
ときには、複数の引き出しを組み合わせて答えを導き出すことも必要です。

自分が引き出しの中から見つけ出した答えは、
「サードコーチャー」

野球をご存じの方は分かると思いますが、サードコーチャーは勝敗を左右する重要な役割で、頭脳と瞬時の判断力が必要なんです。
かなり高度なスキルを要求される役割です。

「物覚えが良くて努力家」
この子にピッタリの役割です。

一つひとつ、サードコーチャーの役割を丁寧に教えていきます。
ランナーを止めるか、そのまま次の塁へという指示を出すか。
判断基準は、ランナーの足の速さ、相手の野手の肩の強さ、ボールがある位置とランナーの位置関係、中継に入る野手の位置取り、などなど。

数多くの判断基準を総合して、瞬時に選手に指示を出す必要があります。

この他にも、三塁ランナーが内野ゴロのとき、ゴーなのかウェイトなのかバックなのか、相手投手の牽制のクセは、などなど、
数多くのことを覚えて実践で使えるように練習を繰り返します。

教えるエッセンスも、「引き出し」の中にしっかりと入れておく必要があります。
一つひとつ丁寧に、理由も合わせて説明していきます。

そして試合で試す。
失敗したら、なぜ失敗したのかを考えて次に活かせるようにしていく。

この繰り返しです。

どうなったか。

安心して任せられるサードコーチャーになったのは言うまでもありません。
それ程時間もかからずにです。

あるとき、子ども達全員に「どのポジションが好き?」と聞いたことがあります。
この子の答えは、ニッコリしながら「サードコーチャー!」でした。
自信を持てた証拠です。

ここが、次のチャレンジ目標を決める絶好のタイミング。

あえて高い目標を伝えてみました。
「ピッチャーができるようになれ!」

返事は、
「やってみる!」
でした。

これ以降のこの子の成長は計り知れません。
数試合先発ピッチャーを任せたり、レフトオーバーのホームランを打ったりと。

勝手に成長するようになった典型的な事例です。

最後にもう一度書きます。
出番をつくるために必要なことは、
「数多くの引き出しを持つこと」
「その引き出しを駆使して丁寧に指導していく」
ことです。
そして、「失敗を次に活かす」指導。
言うまでもなく一番大切なことは、結果が直ぐに出なくても必ず成長すると信じ切ることです。

如何ですか?
若手社員の指導に活かせると思いませんか?